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光
そこに少女が一人いました
少女は赫い靴を履いていました。
けれど、少女は何故自分が赫い靴を履いているのかをしりません。
少女には記憶がなかったのです。
それでも、少女はひとつの使命を瀬尾っていました。
誰かの命を運ぶことを。
ー奪うこと。
それは、涙から生まれた少女の使命。
死を司る者。
黒き使者。
何故、自分は生まれたのか。
何故、此処に居るのか。
そして、少女はゆくことにしました。
自分を見付けるために。
黒の中の、孤独な白。
涙から生まれた真っ白い自分。
そのワケを見付けるために。
たったひとつ、瞳に黒をたずさえて、真っ直ぐにセカイを見つめます。
きっと、判る日がくるのでしょう。
だから、赫い靴を履いてゆくことにしたのです。
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