1/4
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ

そこに少女が一人いました 少女は赫い靴を履いていました。 けれど、少女は何故自分が赫い靴を履いているのかをしりません。 少女には記憶がなかったのです。 それでも、少女はひとつの使命を瀬尾っていました。 誰かの命を運ぶことを。 ー奪うこと。 それは、涙から生まれた少女の使命。 死を司る者。 黒き使者。 何故、自分は生まれたのか。 何故、此処に居るのか。 そして、少女はゆくことにしました。 自分を見付けるために。 黒の中の、孤独な白。 涙から生まれた真っ白い自分。 そのワケを見付けるために。 たったひとつ、瞳に黒をたずさえて、真っ直ぐにセカイを見つめます。 きっと、判る日がくるのでしょう。 だから、赫い靴を履いてゆくことにしたのです。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!