溺れる熱

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「……てたよ?」 「何ー?」 ブォォォォォーーーーッとドライヤーが鳴り響く深夜1:00。 「何?」 「緒方さんが“九条君が捕まらない”って言ってた」 「時間がある時は此処にいるからな。」 温風が吹き荒ぶ中、声を大にして話をする。 スイッチを切ればいいものの、九条さんはそれをしない。 「ん。サラサラ。」 「シャンプーのおかげだね~」 「俺のおかげ、だろ?」 「ぐぅ、くるしっ、」 首に回った腕をバシバシ叩くと「交代」と彼は言う。 殆ど乾いた癖のある髪に指を通してドライヤーで乾かした。 こういうのもなんだか新鮮だ。 普通の恋人同士ならするのかもしれないけど、私は彼とこんなことしたことがなかった。 「玲、ベッド行こう。」 朝ごはんはどうしようかな、なんて 冷蔵庫の中身を確認していると九条さんは尻尾を振ってくっついてくる。 「早く、」 その声は既に色味が含まれていて耳元で囁く声はわざとらしく吐息混じりだ。だけどそれも軽くスルーすると彼は先にベッドに潜っている。 「先行ってていい…わっ!」 「俺がどれだけ待ったと思ってるんだ?」 「ちょっ、やだ!降ろして!」 「やだね。」 ……訂正。 どうやら気分の問題らしい。
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