溺れる熱

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「シングルベッドって狭いって思ってたけど、」 結局寝室に強制送還された私は数十分前に着たばかりのパジャマを即座に脱がされた。 ベッドに倒れ込むや否や既に獣になった彼は息の根を止めるように私に覆いかぶさってコトに及ぶ。 「ちょうどいいサイズだよな。」 髪を梳く手が擽ったくて目を細めると柔らかい熱が唇を塞いだ。 「逃げる場所ないし。」 「…逃してくれるの?」 「愚問だな。」 熱り勃ち脈打つ彼はさらに奥へと侵入する。その質量に小さく息を吐き出してシーツをキュ、と握った。 「玲、手は?」 ゆっくりと律動を始めた腰から伝わる快感に鼻から抜けるような淡い声が漏れる。その声を掬うように唇が塞がり、躰に到達する振動が真っ白な世界へと誘った。 九条さんの首に手を回して誘われるまま快楽の海に沈み込む。深みに嵌れば嵌るほど息がうまくできなくて。 「ぁ、梓、」 淫されてゆく躰は彼の色に染まり、言葉巧みに惑わされた脳はそれだけで圧力を加えた。 その度に猛々しく吼える男は容赦なく自らを打ち付ける。抵抗出来ない躰は全てを受け入れて、彼に身を委ねるだけだった。
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