溺れる熱

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「…喉、渇いた。」 掠れた声でそう呟くと宮棚に視線を向けた。 その先に気づいた彼は少し身体を起こして腕を伸ばし、私たちの情事を見守っていたペットボトルの蓋をカチッと開けた。 「んぅっ、」 九条さんの口に含まれた水は8割程私の口に移されてあとは顎から下に滴り落ちる。濡れた喉元をタオルで拭きながら満足げな顔を下から見上げた。 「…まだ欲しい?」 「……もう、いい。」 ペットボトルは元の位置に戻され、私の身体は彼の腕の中に戻った。まだ少し速い心音が素肌から直接伝わる。 それは私のか、彼のなのか区別は付かないがその音の心地よさに目を瞑った。 「ふっ、」 頭上から小さな笑い声が聞こえて何事かと目だけを向ける。 「…そんなに安心されるとな、」 目を細めた彼はおでこにちゅ、とキスを落とす。本当は九条さんの言ってることを否定したかったけど身体が怠いし強ち間違いでもないから仕方なく口を噤んだのだった。
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