溺れる熱

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「そういえば、緒方さんから連絡あった。」 日付を超える頃、私たちは漸くベッドから起き上がった。睡眠不足の体はいつの間にか夢の中に居て。 九条さんもまた眠っていたらしく、起き抜けの顔はさきほどよりも随分すっきりしていた。 「呑みに行こうって、」 軽く食事をしてお風呂の準備をしたあと、私は今日の打ち合わせ分のまとめに入る。 九条さんはさも当たり前のように今夜も泊まるらしくお風呂上がりのいい匂いを引き連れてリビングに戻ってきた。 「聞いてる?」 冷たいお茶を飲みながらソファーに腰を下ろし、私の後ろから長い腕を伸ばしてPCをパタンと閉じる。 「もうっ!」 閉じられたPCを開いて弾みで打ってしまったよく分からない羅列した文字を消す。 悪戯が成功した、と喜ぶ男はその顔を隠すこともなくソファーから降りて隣に座った。 「いつがいい?」 「はいっ?」 「呑み会。」
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