0と1

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言い淀む山崎さんの次の言葉を待った。 ……時間の問題、とはどういう意味だろう。 警察が動いているならそれなりの進展が今後見込めるだろうし。それよりも犯人が上手なら、…… 「……私も、ホテル避難ですか?」 「いや、言い方が悪かった。君はまだ写真も何も掲載されていないよ。ただ、君もうちの“綺麗どころ”だからね。」 山崎さんは眉をハの字にして笑った。 その顔はいつもの山崎さんで。 「有難きお言葉です。」 「なんだそれは。本気で心配してるんだからな?」 「ふふっ。善処します。」 山崎さんは年の離れたお兄ちゃんというか、年の近いお父さんというか。 「……話は変わるが、君はまだオーストラリアに恋人は、」 「いますよ。」 山崎さんは「そうか、」と視線を落としながらまた口を噤んだ。 何を言いたいのだろう。 ロバートに変な不安を与えたくはない。 もし何か遭れば、なんて遅いかもしれないけど彼を巻き込みたくない。
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