0と1

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そんなこと言わんでいいやろっ!と、喉元まで出かかった言葉を飲み込んだ。 殺気じみた辛辣な視線が後ろから突き刺さる。 「大事なもんなんやからもう忘れたらあかんで。」 壱はこれが祖母からのプレゼントだということを知っている。そしてその祖母が亡くなったことも。 当時泣いていた私を励ましてくれたのは壱だったから。 「予約した時、俺の番号伝えといたから電話くれてん。ほんで今さっき貰ってきたとこ。」 むにっ、とほっぺを引っ張った壱は「分かったか、」と念押しをする。 「…ご迷惑をおかけしました、」 「ほんまやで。次はれぇの奢りやからな。」 ペシン、とおでこを叩かれ「はいはい」と頬を膨らませる。私に奢れって言っても結局は出させてもらえないんだろう。 「ちんちくりんのくせにこんなに手ぇかかる女、面倒やろ?」 その言葉は私より奥にいる人物に向かって飛び出して。壱の顔は苦笑いをしながらもどこか挑発的だった。 「……面倒?可愛くて仕方ないよ。」 ピリピリとかバチバチとかそういうんじゃない。 なんというか、 この2人、根本的に合わない気がする。
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