0と1

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夕食を食べ終えた後は九条さんが買ってきてくれたお土産をツマミにワインを飲んだ。 隣でPCを覗き込んで眉間に皺を寄せる男は珍しく甘えてこない。 いつもならこんな風に並んでいると直ぐにくっついてくるくせに、今日はそういう気分じゃないのだろうか。 「………。」 これで最後にしよう。 いくつでも入りそうだけどこれ以上はダメだ。 お菓子の箱を片付けながらコーヒーを淹れる。 テーブルの上に置いても九条さんの反応はなかった。 “気に入らない、”と呟いた彼はすんなりと腕の力を緩めて解いた。あまりにもアッサリしすぎていて、こちらが拍子抜けするぐらいで。 テーブルに並ぶ料理を食べながらいつものように簡単な会話をした。 食事が終わるや否や再びPCを開いてもうすでに2時間以上経つ。 私はそれを邪魔しないようグラスを片付けて寝室に向かった。
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