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機械的なアナウンスが響く車内
澤木リーダーの言葉が脳内で繰り返される。
『全部自分で背負い込むことが強さじゃない。人を信じて頼ることも必要なんだ。』
あの日から誰も信じられなくなった
裏切られた気がして
誰に矛先を向ければ分からなくて
『誰彼構わず信じろとは言わない。だけど、宮内を大切に想ってくれる人ぐらいは信じて。』
澤木リーダーはまるで会議室にいる時のように淡々と言葉を紡いだ。
もっと強くなれ、と。
彼を信じろ、と。
『宮内が心から九条くんを信じて自分を曝け出せた時、もっと成長できる。それは九条くんも同じだ。パートナーとして九条くんを支えてあげられるのは宮内だけなんだ。彼の隣に立つことを怖がらないで、自信を持って堂々とすればいい。』
澤木リーダーはそれだけ言うと、「気をつけて帰れよ、」と背中を向けた。
私はその背中に感謝の意味を込めて頭を下げた。
季節はいよいよ本格的に冬を迎える。
それでも九条さんと過ごした時間は私の中で鮮やかに煌めいたままだった。
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