大切なのは

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「玲ちゃん、」 AD-Free+とは半年の契約を終え、今は月に2回アフターフォローに来ている。 この2ヵ月で計4回このオフィスを訪ねる。 そして、今日は2回目が終わったところだ。 この日の夕方、パースからロバートが到着するためこれから羽田空港に迎えに行くところだった。 「…どうかしました?」 オフィスの中なのに、木下さんが私をそう呼ぶのは珍しい。 私は振り向いたままの身体を木下さんの方に向ける。 少し哀しげに木下さんは眉を下げた。 「………行くの?」 「……え?」 「……今日、来るんでしょ?」 ……どうしてそれを? この話を知っているのは未玖しかいない。 けど、未玖はそんなこと誰かにペラペラ話したりしない。 「……玲ちゃん見てたらわかるよ。今日時計見過ぎだし、そわそわしてるし。携帯気にしてるし、」 「……す、すみません。」 「業務に支障がないから構わないけど、俺としては、ね。」
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