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ーーーーさっきぶつかったところまでこれる?
重い腰を漸くあげてふらふらと立ち上がる。九条さんが指定した場所はここから100メートル先の曲がり角だった。
九条さんも近くにいるらしく、そこまで来てくれるという。
「……ふぅ、……」
瞼が重くて視界が狭い
泣きすぎでグズグズの私の目を覚ますように冷たい空気が鼻腔を擽った。
「……はぁ、……」
いっかい、にかい、深呼吸をして呼吸を整える。
薄暗い道を抜けるとまるでスポットライトを浴びるような眩い光が私を照らす
さっきまで暗闇に居たせいで頭がクラクラして眩んで立ち止まりそうになって。
タイミング悪く地下鉄の入口から出てくる人波が私の行く末を塞ぎ、その波に埋もれそうになる。
「…すみませんっ、」
肩がぶつかっても、
鞄がぶつかっても
振り返ってる余裕すらなくて。
ただ目指すは目の前の交差点。
その曲がり角だけ目指して走った。
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