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「玲、呼んでるよ?早く行こ?」
未玖と寄り掛かりながらグダグタと歩いていたせいで九条さんたちとすごく距離がひらいてしまった。
未玖は「ほら、」と手を引いて、さっきまでのヨタヨタの足取りとは思えないほどしっかりと一歩を踏みしめた。
私もそれを追いかけるように隣にならぶ。
「なんか2人怪しいよね、イツモ。」
3人に追いついた私たちを見て香月さんは笑った。切れ長の目をさらに細めて、「もしかして、そっち?」なんて冗談まで飛ぶ。
「それもいいかもね?確か渋谷区なら認められてるんじゃなかったっけ?同性婚。」
未玖のニヒッとした顔は私の隣に移動した彼に向かった。その言葉に眉を顰めるのは彼だけで。
「もし、それなら玲ちゃんは未玖ちゃんを選ぶんじゃない?」
面白がるように木下さんは彼を揶揄う。
「あ、別に玲に旦那いても構わないからね?私が嫁になればいいんだし?その代わり週末と平日の夜は私のところに帰ってきてくれれば。」
未玖の更につっこんだ一言に彼はより深く皺をつくった。
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