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「…っ、こらっ、」
「んー?」
ニヤニヤとする彼は首筋やらおでこやらランダムにキスを落とす。そのキスの嵐から逃げるように九条さんの胸元に顔を埋めた。
「…玲、顔上げて。」
「やだ。」
「キスしたい。」
「眠い、」
時計の針はもうすぐ5時を指す。せめて3時間は寝たいのにこの男のペースにのせられると多分一睡もできないと思う。
「…仕事あるの、」
九条さんの大きな手が優しく頭を撫でる。相変わらず私の中で彼は佇んでいるけど、動く気配はないらしい。
「おやすみ。」
「このまま?」
「眠れない?」
眠れないかどうかと言えば眠れると思う。そんなの気にならないほど眠いのが本音だ。
「おやすみ、玲。」
頭上から落ちてきた柔らかな声。ぎゅ、と抱きしめてくれる圧が心地よい。
(本当にこのまま寝るの?)
そんな疑問をぶつけるように胸元から顔を上げる。
きっと相当不思議そうな顔をしていたんだろう。そんな私に九条さんは苦笑いを零すだけだった。
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