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どこかで聞いたような台詞だった。
そして、すぐに思い出すのは彼の寂しげな顔で。
ざわざわと胸が騒ぎ出す
もしかして、
子どもがいる、とか?
いやいやいや!
それは……っ、ない、よね?
だっていつもちゃんと付けてるし。
快楽のためにそんなことする人じゃないと、……
思って、
……思いたい
だけど
真剣な眼差しを向けられて言葉を失う。
何を言われるのか怖くて今すぐ逃げ出したくなった。
そろり、と膝の上から降りて隣に座る。
もし、大きな子どもがいたら?
九条さんの血を分けた子どもなら愛してあげられるかもしれない。
ううん。大丈夫。
その時は沢山愛してあげよう。
「…黙っていたことって?」
何度か小さく深呼吸をして心を決める。
膝に置かれた手にそっと自分の手を重ねると九条さんの瞳が大きく揺れた。
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