嘘つきは恋人の始まり。

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つまり、私が責任を負って仮の彼女になる必要がなかった、ってこと? でも、ちょっと待って。 そんな大袈裟な嘘吐いて 九条さんになんのメリットがあるの? バレることを考えると デメリットの方が明らかに大きいのに 「…どうして、そんなこと、」 なんとなく内容は理解したけどイマイチ真相は見えない。 「……俺のこと、全く眼中になかっただろ?」 「…そんなこと、」ないよ、と言いかけて口を噤む。確かにあの時は気づいてなかったと思う。 今なら初めからどこか気になっていたかも、なんて思うこともあるけど出会ったばかりの当初はなるべく関わりたくない人だった。 「あの日も俺と居るのに携帯見て嬉しそうにニコニコしてただろ?頭の中はアイツのことしかないのかって凄く腹立った。」 九条さんはまるで叱られた子どものようにシュンとなって。私に抱きついて肩に顔を埋めた。 「…困らせたかったんだ。……俺を見て欲しかった。そのきっかけが欲しかった。玲と一緒に居る口実を作りたかった。」 ぎゅう、と腕の圧が強まって甘えん坊はまたさらに小さくなる。 少し丸まった背中を撫でて九条さんの言葉を反芻した。甘えん坊の悪戯にしちゃあ、タチが悪い。だけど、実際そのことがあって九条さんとの距離が縮んだんだからそこは感謝するべきなのかもしれない。 「……いつバレるか内心穏やかじゃなかったけど。」 「…バレたらどうしてたの?」 「……さあ。どうしてただろう、な。」
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