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指環は薬指の根元でスッキリと収まった。目線より少し高い位置に手を掲げるとダイヤモンドが照明の光に反射して一層輝いて煌めいていた。
「……綺麗、」
角度によって七色に光って見える石。九条さんの言う通り、あまり大きな石ではないかもしれない。
だけど、引っかかりを気にしなくていいことやどんな服にも合わせやすそうで、何より私のことを考えて選んでくれたことが嬉しかった。
「よかった、サイズ合って。」
「どうして知ってるの?」
左手の薬指に向けた視線を九条さんの顔へと移動させる。彼はクスッと笑うと指環の嵌った薬指をそっと撫でた。
「玲が寝てる時、調べた。」
「どうやって、」
「企業秘密。」
……いつの間に、そんなこと
「あ、」
取り残された指環に目を向けた時だった。
見つけたものは刻印された二人の名前とメッセージで。
Always with you (いつもあなたの傍にいます)
Azusa & Rei
「……この先も色々あると思う。だけど、玲を想う気持ちは変わらないから。」
この意味を選ぶあたり、とても九条さんらしいと思った。
きっと、何年経っても
何があっても、彼は私の傍にいてくれる
不思議とそう、無条件で信じられるんだ。
「愛してるよ、玲。俺の彼女になって。そんで、来年の今日、俺の奥さんになってほしい。」
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