7年目の激震

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「…これ欲しかったやつ、」 梓は綺麗に梱包されたラッピングを丁寧に剥がして中身を見て目を輝かせた。 それは、鉄板になったり、鍋になったりする多機能プレート。真っ赤な外観がお洒落で、多分4人前ぐらいは作れるだろう、大きさ。プレート3種に仕切りのついたそれは梓よりも玲ちゃんが喜びそうなものだ。 「ほ、本当ですか?良かった!」 藤原さんも田渕さんもホッと胸を撫で下ろしている。だけど、笹山さんは意外そうに目を丸くしていた。 「……社長はお料理されるんですか?」 「全く。皿運ぶぐらいだよ。」 眉を下げて苦笑いをする梓に凌が隣から茶々を入れる。 「社長はリクエスト専門。あと財布係。」 「おい。」 「あれ食べたい、これ食べたいって籠の中にポイポイ食材入れる役。」 凌の悪意に満ちた顔に俺は内心笑いを堪えるのに必死だった。 さっきまで赤面していた藤原さんも意外だったのかぽかん、と口を開けている。 「で、でも、男の人ってそうですよね。」 田渕さんは梓のフォローに回り、他の子たちも、うんうん、と頷いている。それをぶち壊すように俺は彼女達に視線を向けた。 「そんなことないよ。俺と香月は料理、するよ?やっぱ今の時代はできた方がいいよね。女性ばかり負担かけてられないし。」
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