7年目の激震

10/11
前へ
/1549ページ
次へ
梓のことだから盛大に金をかけてするものだと思ってた。お色直しも一回じゃ足りないだろう。 きっとドレスはオーダーメイドだし、関連会社や世話になった人間に彼女と並ぶ晴れ姿を見せつけるのだと思っていた、のに。 「……そうなんですね。」 そうがっかりと肩を落とす田渕さんと笹山さん。しかし、藤原さんだけは諦めていなかった。 「私が言うことじゃないですけど、九条社長の結婚式参列されたい方って沢山いらっしゃると思うんです!その、パートナーの方に興味がある、という意味も含まれていますが、九条社長は人望もありますし、単純にお祝いしたい方が社員も含めて沢山いらっしゃるかと、」 だから、考えなおしてほしい。 そんな気持ちがヒシヒシと伝わる。 梓はフと笑みを溢すと小さな声で感謝を述べた。 「ありがとう。今のところ簡単な立食パーティーはしようと思ってるよ。ただ、僕の一存じゃ決められないからね。休みの兼ね合いや予算もあるし。その辺は決まり次第また知らせるよ。」
/1549ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26084人が本棚に入れています
本棚に追加