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「単刀直入に言う。うちに来てくれないか?」
彼女は次の予定がある、と腕時計をチラチラ見ていた。ここはあまり長引かせない方がいいと思い俺は要件だけを伝えることにした。
その時、初めて彼女が表情を崩した。思いっきり「え?」という間抜け面だった。
「うちもコンサルタントを探していてね。詳細は後日説明します。急いでるならどうぞ行ってください。用が終わった後でいいので僕に連絡ください。電話でもメールでもどちらでも構いません。」
では、と最後に笑みを浮かべて踵を返す。
彼女はどう思っただろうか。あの様子じゃあまり良い印象はないだろう。
緒方さんが話していないならあんな態度も当然かもしれない。
俺は一度足を止め、振り向いて先程の場所に目を向ける。
まだ彼女が居れば、と思ったのに
そこに彼女の姿はなかった。
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