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【件名:宮内です。】
そのメールが届いたのは玲と別れて数時間後だった。
コンサルティングの依頼は嬉しかったこと、そして突然のことに失礼な態度をとってしまい申し訳ない、との謝罪の文面たった。
とてもシンプルで事務的な文面だったが、俺はドキドキしながら何度も繰り返して読んだ。
そして直ぐに返信した。
そこからはずっと携帯が気になって仕方がなく。待ちに待った返信は日付を越えて返ってきた。
都合の良い日程をいくつか提示してもらい、一週間後の夜7:00にアポが決まった。
本当はもっと色々と話をしたいのだけど、プライベートのことを今の状況で踏み込んでいくのもどうかと思い、結局玲に送ったメールは色気のない簡素なもの。
内心で俺は、あの日のことを早く感謝して謝罪したかった。
君のおかげで今があること
あの日からずっと君を想っていること
こんなことをいきなり言うと引かれるのも承知だけど、俺はただどんな形でも俺という人間を彼女に意識してもらいたかった。
クライアント、としてではなく
ひとりの男として、
彼女の瞳に映して欲しかった。
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