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もう一度、そう思って顔を傾けるとわずかに玲の顔が下がった。頑なにぎゅう、と目を閉じている様子に悪戯心が擽られる。
ここで下から掬うように唇を重ねることもできるけどそれは少し面白くない。
「玲、こっち見て。」
「や、です、」
「玲、」
「やだっ、」
あー。もう、なにこいつ。
「やだ」って可愛すぎるから。
まるでその場を動きたがらない犬のように俺の手を掴み、顔をうつむかせてその場を逃れようとする仕草。
こいつは分かっているんだろうか。
キスなんか唇じゃなくてもどこでもできる。
ほら、このうなじとか。
コートの隙間から見える白い首筋とか堪んないんだけど。
俺はそんな煩悩と闘いながら突き出された頭にチュッと可愛いらしい音を立ててキスをした。
「ーーーーっ!」
なにするのっ!とでも言いたげに、飛び上がるように顔を上げて咄嗟にキスされたところを隠した彼女。
その慌てぶりに笑いが堪えきれなくて、それをごまかすように頬を撫でた。
「お前、可愛いな。」
ほんとうに可愛すぎて困る。
なんでこうキスひとつで俺の心臓はこんなにも取り乱すんだろう。
「へ、変態っ!」
「生まれつき。」
それと、お前限定だバーカ。
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