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観念したかのように大人しくなった玲をこれ見よがしに抱き寄せてキスをした。
さっきよりもしっかりと感じる密着感。逃げないよう逃がさないように腰を抱き、首の後ろを支えた。
玲の手がきゅ、とコートを握る。
俺は堪らず唇を離しても角度を変えてキスをした。
唇を啄ばんで、食んで、懐柔して。少しでも隙間が開けば舌を差し込もうとタイミングを見繕っていたのに。
「ん"ーーーーっ!」
うめき声と共に彼女の鞄が足元に落ちた。それは俺のつま先にダイレクトに当たる。
……っ、痛い、
結構な重量な鞄だ。
ファイルやらPCやら入っているのを知っている。
おまけに反対側の足は態とか知らず知らずかショートブーツのつま先で踏まれていて、今更ながら痛みがじんわりと広がった。
「…玲、それはないだろ。」
キスに夢中になって気づかなかったとか。ってか本人も気づいてないのか?
「……それはこっちの台詞です、」
玲は逃げるように顔を俯かせると俺の肩に顔を埋めた。
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