最強の味方

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その日は出社して一時間も経たずに外に出た。このクソ忙しい時期だ。 昼御飯も食べる余裕すらなく、俺は凌とひたすら訪問していた。 「あー、腹減った。」 「もう16:00か。」 「コーヒーでも飲もうぜ。」 次まで少しばかり時間ができた。とはいっても15分程だ。コーヒーを買って次の目的地に向かえばちょうどいいかも知れない。 基本的に外出時は一人で出ることが多い。だけど、今日は珍しく、凌と出る日だった。 「あのオッサン何て返事するかなー。」 「とりあえず契約しない方向で進めよう。面倒なクライアントは要らないし。」 それもそうだな、とフと笑う凌は腕時計を見ながらそろそろ行くかと地下鉄のホームを目指して足を進めた。 「九条、梓、さん、ですよね?」 その時後ろから呼び止められた。 振り向くとわりと美人な女性がにこり、と笑っている。 こういうことはよくあった。 一人だと無視するが、凌は気を利かせて「何か御用ですか?」と俺と彼女の間に立ちはだかった。 「少しだけお話をしたいのですが、」 「どのようなお話で?」 「プライベートなことなので貴方にお話できません。」
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