答え合わせ

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塚原とカフェで話をして一週間経っても、俺はあの日の疑問を未だ解決出来ずにいた。 本当ならすぐにでも玲を捕まえて聞き出したいところだが、生憎そんな余裕がない。 こういう話はメールや電話で話すよりちゃんと顔を見て話したい。もしかすると、俺達は何か大きなすれ違いを起こしているのかもしれない、と思ったからだ。 俺は過去のファイルを探し、丁寧に保管された経費ファイルを片っ端から捲くった。俺が入院した時、見舞いに来てくれた客達へ返しをした領収証があるはずだ。 案の定、その領収証が貼り付けられたページから少し辿ると同じ日付、同じ時間帯でタクシーの領収証が貼られているページが見つかった。 これは、凌と雅が外出先から駆けつけてくれたものだと考えられる。 日付はちょうど明日で六年。 もう六年か、と少し感慨にふけながら明日のスケジュールを確認した。予定を全て前倒しにし、夕方以降は予定が空くように調整する。 本音を言うと玲と再会するまでは途轍もなく長かった。もう会えないと何度も諦めて、もう探さない、と何度も思い込ませた。 だけど結局いつもあの日の出来事を思い出して、やっぱり彼女のことを考える、その繰り返し。 どうして逃げたんだ、とか どうして嘘を吐いたんだ、とか 訊きたいことが山積みで、先方に調整を依頼しながら口だけは勝手に動くお陰で頭の中はずっと彼女に対する疑問ばかり浮かんだ。 「…あとは、」 携帯をスクロールして彼女の名前を探す。俺は明日なんとかして玲に会おうと決めて、画面をタップした。
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