嘘つきは恋人のはじまり。【完】

答え合わせ

「ってことで、玲との時間が欲しいなら迎えに来てください！」

弾んだ声で塚原が店名と住所を読み上げたあと、「迎えに来い」と言って電話を切った。

一方的にツラツラと喋り、勝手に気を回したらしい。俺は塚原に『協力は要らない』と言った手前「余計なことをするな」と言いかけたけど、ここは大人しく塚原に感謝する方が賢明だと思った。

時刻は四時を回る。

日が長くなったと言えど、もうほのかに空は薄暗くなり始めた。

口を開いたままのPCの画面には作成中の資料が映し出されている。

カーソルを合わせて保存ボタンをクリックして、シャットダウンさせる。

ソファーの背もたれにかけたパーカーを羽織り、車の鍵と財布と携帯だけ持って家を出た。

この時は何も考えていなかった。
どこで食事をしよう、とか念頭にもなかった。

ただ、突き動かされるように家を出て、彼女たちのいる場所に車を走らせた。