一章 始まりの一日

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始まり方は、こんな感じで良いかな。 でも、凍子に一人言を言わせたい。 それにストーカーって表現、気に入ってるけど、よくないかも。 書き上げた小説を思い返し、再度考え込む女生徒・丸谷(まるたに) 満月(みつき)はスマホから黒板へ目を移した。 今は5限目、科目は歴史、教壇に立つ高齢の先生に、グラウンドが見える窓際の席。 先程の小説のシチュエーションとほぼ同じ。 一つ違うのは満月が投稿小説を書いているということ。 そして、それを授業中に関わらずアップしている。 現実は、小説のように甘い話ではないということだ。 しかし、このクラスにはもう一人、同じようなくせ者がいる。 それは、満月とは反対側の廊下側の席の伊佐見(いさみ) 近藤(ちかふじ)だ。 近藤も真面目に授業を受けず、視力の悪いおじいちゃん先生ということを良いことにスマホに目を向けている。 彼がスマホで見ているものも小説だ。 それもただの小説では無く、恋愛小説。 男子生徒にしては珍しい小説の選択だろう。 近藤自身、貴重な昼寝時間……。ではなく、授業中にまでコッソリと読むほどハマってしまうとは思っていなかった。 読書好きではあるが、素人の多い投稿小説のベタな恋愛ストーリーは、面白いはずがないと思い込んでいたくらいだった。
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