二章 変わりたい

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今、小説は、凍子が女子力なるものを磨いている途中だ。 そして、凍子に長年、想いをはせてきたひなたの心の葛藤も書いている。 女子力云々は、満月の憧れを反映している。 すみれのような美しさを持てたら、自分も少しは自信がつくのではないかと、夢を見るようだ。 テスト期間中に小説を書き進めるつもりは、無かった。 しかし、満月の現状と小説の登場人物達の心情がリンクしているため、上手く書き進められる。 もちろん、普段より更新スピードが早く作者としては嬉しい誤算だ。 満月自身は、毎日、モンモンと葛藤し全く喜べない。 「この人は、作品のファンなだけだし、このことを伊佐見君に言わなくても良いのに」 今だに、机に突っ伏してウンウンと唸っていると、一階から満月を呼ぶ雛子の声が聞こえる。 「満月! お風呂が沸いたわよ」 満月は、何も書かれていない真っ白なノートを見て溜め息をついた。 勉強は、戻ってきてからと心に決めて、今だに大声で呼ぶ母の元へ返事をした。
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