4人が本棚に入れています
本棚に追加
満月は、近藤のなかで信頼できる人間だと腹をくくることにした。
決意をすると、気持ちも少しは楽になる。
ついでに、心置き無く投稿小説を楽しむことにした。
ひなたが凍子に想いを打ち明けるシーンは、自分のことを言われているようだ。
胸に熱いものが込み上げてくる。
涙を堪えるために、目をつむり目頭をギュッとおさえる。
そのために、電車が停車したことにも気付かなかった。
「はよっす。あれ、チカ? 何してんの? チカがスマホ、弄ってる。珍しいじゃん」
野球部で同じクラスの高橋が乗り込んできた。
近藤は、肩をあげて驚く。
とっさにスマホをバッグの中へ乱暴に放り込む。
「おはよう! なんでもないって!ただ、ちょっと、あれだ。その……調べものしててさ」
高橋は、近藤の手がバッグを庇うように抱えていることを、目ざとく見つける。
近藤の手が所在なさげにバッグを触る。
イタズラ心に火がついた高橋は、ニヤリと不敵に笑う。
「本当に調べものか? ちょっと、俺に見せてみろって!」
そう言うと、高橋は、近藤のバッグをむりやり剥ぎ取り、スマホを取り上げた。
近藤は、自分の趣味が人目にさらされてしまうと焦る。
最悪、自分の恋心までバレてしまうかもしれない。
「やめろっ。返せよ」
最初のコメントを投稿しよう!