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日直が号令をかけ終えると教室内は、あっという間に生徒達の声で満たされていく。
そんな小煩い教室で満月は、静かに席に座って投稿小説の続きをどう書くか考えていた。
夏樹先輩と凍子の距離をどうやって縮めようかな。夏樹先輩に偶然助けて貰おうか、凍子からのアプローチはなさそうだし、それとも、ひなた君を経由すればいいかな。
満月は、大体の流れは考えているものの細かいストーリーは、まだ考えてはいない。
方向性が決まったので書きだしてみたが、思い付く案は、どれもしっくりこない。
出だしで躓き、ため息を漏らす。
「良い出合いってないのかなぁ……」
「ついに、満月も男にキョーミが出てきたのね!」
急に名前を呼ばれた事に驚く満月は、声のした方向を反射的に見上げた。
そこには満月の言葉を聞いて異常に目を輝かせる文鳴 すみれの姿があった。
男子生徒に人気のある女性的で可愛らしい顔を弾けんばかりの笑顔にして、すみれは満月との距離を詰める。
満月の手を取ると間髪入れずに熱く語りだす。
「満月のためなら、どんな男でもいっぱい紹介してあげるよ! どんなのがタイプ? 年上、年下、同い年? 癒し系、天然、かわいい系? もしかして意外にチャラ男が良かったりする?」
ノンブレスで一気に捲し立ててきたすみれ。
対して、何が起きたか分からない満月。
満月はすみれに、ゆったりとした口調で素直に思ったことを言葉にした。
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