三章 複雑な心

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近藤は必至になって、取り返そうとする。 近藤が腕を伸ばすと、高橋は右へ体を捩らせる。 右へ腕を伸ばすと左へ。 左へ上へ、また左へ追いかける。 次は、後ろに回ってグルリと一回転する。 それでも、近藤は、野球部イチ素早い高橋の動きをとらえることができない。 近藤を躱しつつも高橋は、鼻歌を歌い、慣れた手つきで、近藤のスマホの閲覧履歴を開こうと操作する。 「おい、こら、高橋。マジでやめろ」 背を向ける高橋に近藤は、後ろから手を伸ばすも後少しというところで避けられる。 「往生際が悪いぜチカちゃん」 近藤は額に青筋をたてて、今にも噛みつきそうな形相だ。 高橋は、サッと履歴に目を通す。 しかし高橋は、すぐにつまらなそうな顔をする。 「なんだ。知られて困るようなサイト、見てないじゃん。チカちゃんま・じ・め」
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