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近藤は必至になって、取り返そうとする。
近藤が腕を伸ばすと、高橋は右へ体を捩らせる。
右へ腕を伸ばすと左へ。
左へ上へ、また左へ追いかける。
次は、後ろに回ってグルリと一回転する。
それでも、近藤は、野球部イチ素早い高橋の動きをとらえることができない。
近藤を躱しつつも高橋は、鼻歌を歌い、慣れた手つきで、近藤のスマホの閲覧履歴を開こうと操作する。
「おい、こら、高橋。マジでやめろ」
背を向ける高橋に近藤は、後ろから手を伸ばすも後少しというところで避けられる。
「往生際が悪いぜチカちゃん」
近藤は額に青筋をたてて、今にも噛みつきそうな形相だ。
高橋は、サッと履歴に目を通す。
しかし高橋は、すぐにつまらなそうな顔をする。
「なんだ。知られて困るようなサイト、見てないじゃん。チカちゃんま・じ・め」
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