三章 複雑な心

8/44
前へ
/105ページ
次へ
あまり深く掘り下げてほしくない近藤は、動揺し、早口言葉のように喋る。 その姿に満月は、首を傾げる。 本当に大丈夫かと満月が心配した矢先に高橋が口を挟んだ。 「絡まれるって、そんな言い方しなくてもイイじゃん。ニューチカちゃんを皆に教えてあげようかと思っただけだろ? 親切じゃん、俺」 高橋が急に話に入ってきて満月は、驚いた。 肩を飛び上がらせ、胸に手を置いて息をついている。 近藤は、高橋が現れたことで暴露されることを警戒する。 高橋は、近藤の肩を二回叩いて安心を促すと、話を進める。 「そうだ! 最近チカと仲良さそうな、まんげつちゃんにニューチカちゃん、教えてあげるよ。特別だよ?」 満月は、高橋の急な出現で、固まって瞬きもしない。 近藤は近藤で、高橋の急な裏切りついていけない。 動揺のあまり、頭の上で両手をクネクネ動かし、不自然な行動にでる。 急に可笑しくなった近藤を登校したばかりのすみれが、目ざとく見つけた。 「おっはよー! 皆で何してんの? なんでチカは、変な動きしてんの?」 近藤は、余計な人間が増えたと思い、余計に頭の上の両手を踊らせて動揺した。 「べべべ、別に? いつもと変わんねーよ」 近藤の様子を見てすみれは、ますます怪しむ。 高橋は、近藤がどうでるのかニヤニヤとした表情を浮かべて達観する。 満月は、目を丸くして、うかがうように近藤を見る。
/105ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加