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すみれは、近藤をジトリと見つめる。
「ふーん? 満月は何、聞いたの?」
すみれは、眉を垂れ下げた満月に話を聞く。
満月は、どうしたらいいか分からず、近藤に視線だけで助けを求める。
目が合うと、近藤は、黙って首を横に振り続けていた。
何も言わないでくれという声が、聞こえるようだ。
高橋は、近藤の背後に回ると、笑顔で後ろから羽交い締めにした。
急なことで暴れる近藤に、余計なことをさせまいと関節技を決める。
近藤は痛々しく叫ぶ。
いよいよ困った満月は、
「ごめんね、すみれちゃん。伊佐見君が困ってるみたいだし、私もよく分かんなくて…。えぇと、ごめんなさい」
と謝った。
すみれは、毒気を抜かれて思わず溜め息をついた。
「満月には、敵わないわ。なんか、こっちが悪いことしてるみたいになるもん」
そうそうに諦めたすみれに高橋は、面白くなさそうな顔をした。
「えー? すみれちゃん、もっと粘ろうよ。せっかくチカの……」
「だぁっー! 高橋、うるさいぞ!」
高橋が口を滑らせそうになるのを慌てて近藤が遮る。
「つまんないなー」
高橋がふて腐り、わざと頬を膨らませてひょっとこのモノマネをしている。
近藤は、高橋の空気の入った頬を両手で挟んで潰して、怒鳴る。
「つまんなくねぇよ。良いんだよ、これで何にもないんだから」
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