episode224 奪い合い②

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「失礼。約束があるの」 早々に退散しようと出口に向かう僕の前に 「どけよ――」 征司の犬が立ちはだかった。 「九条敬の立場は守ってやったろ?」 「それは――」 「子供の秘密は守って家に引き留めてやった。だが誰がおまえを自由にしてやると言った?」 「ンッ……!」 征司は後ろから僕を羽交い絞めにし 食らいつくすように唇を奪った。 「やめてっ……人前でっ……」 さすがに得体の知れない男の目の前だ。 拒む僕に一層絡みつく蛇みたいに手を這わせ 「安心しろ。こいつ腕っぷしはめっぽう強いが――あっちの方は」 征司は囁くように言った。 「不能なんだとさ」 「なっ……!」 名前の通り反応の薄い秘書は そんなこと言われても表情一つ変えず立っていた。 「信じないか?なら実際に見てみるか」 その時 昔から王様の中にいる悪い虫が騒いだ――。 「おい薄井――ズボンを下ろして壁際に立ってろ」
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