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「失礼。約束があるの」
早々に退散しようと出口に向かう僕の前に
「どけよ――」
征司の犬が立ちはだかった。
「九条敬の立場は守ってやったろ?」
「それは――」
「子供の秘密は守って家に引き留めてやった。だが誰がおまえを自由にしてやると言った?」
「ンッ……!」
征司は後ろから僕を羽交い絞めにし
食らいつくすように唇を奪った。
「やめてっ……人前でっ……」
さすがに得体の知れない男の目の前だ。
拒む僕に一層絡みつく蛇みたいに手を這わせ
「安心しろ。こいつ腕っぷしはめっぽう強いが――あっちの方は」
征司は囁くように言った。
「不能なんだとさ」
「なっ……!」
名前の通り反応の薄い秘書は
そんなこと言われても表情一つ変えず立っていた。
「信じないか?なら実際に見てみるか」
その時
昔から王様の中にいる悪い虫が騒いだ――。
「おい薄井――ズボンを下ろして壁際に立ってろ」
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