文花災

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「そうだな、梨田。こんなくよくよした姿は脳なしだな。そこで俺は考えた。そもそもの文化祭という概念を壊して名前を変えてしまおうではないか。その名も『ぶんかさい』だ!!」 (いや、聞く分には同じだろ。漢字か?) 「先生、何が違うのですか?」と近くにいた男子学生が聞く。 「文章の『文』。花びらの『花』。そして災いの『災』だ」 私は首を傾げて思う。 (また変なこと考えたな、この先生。まぁ、「体育祭は休むものだ」とか言って会場の真ん中で堂々と寝る人だもんな。その時の理由は『私一人が休むことで休育祭から体育祭になる』だからな。まぁ、その後のことはこちらが見てるのが苦しいほど哀れだったが。これはないだろ) 「いいですね、先生。その案最高です」と梨田は拍手しながら言う。その拍手の波は私以外の全員に広がる。 (いや、なしだろ。梨田さんの名前の通りなしだろ) そんな私の思いは届かず、その概念は通ってしまった。そして先生が言うには私たちのクラスは文化祭の準備も当日も何もしないでいいことになった。そしてしばらく日にちが経って……。
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