君は、明日の夢を

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 テントを張る間の時間で、僕は簡易コンロを組み立てて薬缶に水を注いで網の上に置いた。バーナーに火をつけて、お湯を沸かす。 「僕はミナイ・ユウヒであって、ミナイ・ユウヒではない。ナイン、君が言うように僕はミナイの後悔が生み出した亡霊のような存在なのかもしれない」 「成仏するために、僕に会いたかったのかい?」  コンロのそばに置いた椅子に座って火を見ていた僕の隣に、ミナイが腰を下ろした。 「まさに、その通りだ。ミナイ・ユウヒは己の死よりも、君への執着に囚われていた」  予想外の答えに面食らう僕を無視して、コーヒーセットの入った箱を引き寄せ、ミナイは慣れた手付きで用意をしてゆく。 「飲むだろう?」  本体では数値として捉えるしかなかったが、仮想体であれば、少量という制限はあるが一緒に飲むこともできる。頷くと、ミナイは嬉しそうに顔をほころばせた。 「一緒に、コーヒーを飲みたかったのかい?」  しゅんしゅんと蒸気が唸り、お湯が沸く。 「ああ、そうだよナイン」 「なら、どうしてミナイは僕に仮想体を使わせなかったんだろう?」  最前線に立つ兵士とはいえ、まったく時間がなかったわけではない。コーヒーならば基地で飲めるし、この丘だって休暇を利用すれば来られたはずだ。     
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