君は、明日の夢を

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 景色の良い場所で飲みたいのなら、戦場での休息時間でも良かった。仮想体は、望めばどこにだって連れて行けるから。 「ミナイは、あれでいてひどく臆病な人間だったんだよ」  コーヒーをそそぐミナイの背後で、太陽がゆっくりと傾きはじめる。  青かった空はいつの間にかあかね色に染まっていて、もの悲しさを感じさせる風が吹いていた。  本体と違って、仮想体から受け取る情報は全てが生々しい。  ながくこの体に留まっていたら、それこそ、自分は人間ではないのかと錯覚してしまいそうなほどに。 「ナイン、ミナイのプロフィールは知っているだろう?」 「ああ、もちろん。僕は、ミナイのパートナーだからね。彼に何があったのか、全部知っているよ」  青と赤が混ざり合う夕暮れ時の空は、とても神秘的だ。  ミナイが生まれたコロニーにも空はあるが、自然が見せる複雑な変化までは表現しきれていなかったらしい。  地球に降りてまずはじめに感動したのが空だったと、ミナイは言っていた。 「ミナイの家庭環境は、とても複雑だったと記憶しているよ」  ミナイは母子家庭だった。  父はミナイと同じようにパイロットをしていて、地球で戦死した。  コロニーで暮らしていたミナイと母は戦没者遺族年金を支給されていたが、子供を育てるには微々たるもので、母は夜の街にでて働いていた。     
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