君は、明日の夢を

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「僕を、疑わなくてもいい。君の望みに答えることは、僕に与えられた使命ではあるけれど、同時に僕自身の喜びでもあるんだよ」  僕は人間ではない。  だからこそ、人と同じように扱わなくても良いんだ。 「ミナイ、君は死んでも誠実すぎるよ」  至極真面目なミナイには悪いが、笑いがこみ上げてくる。  僕はほんの少しだけリミッターを外して、沈鬱な表情のミナイを押し倒した。  柔らかいベッドの上が一番好ましいのだろうが、荒野の丘の上を選んだのは彼だ。背中の痛さぐらい、このさい我慢すべきだ。  この期に及んで戸惑うミナイにかまわず、僕は二人分の制服のボタンを外し、一週間前に生まれたばかりの柔肌をそっと撫でた。  仮想体で人間と生殖行動を共にした経験はないが、どうすべきかくらいは知っている。  僕の外見は男性体を基本としているが、厳密に言えば無性だ。  相手が男だろうと女だろうと等しく満足させられることが可能だし、新生児は試験官から生まれる時代だ。人の倫理観も、自由奔放になっている。 「言ってごらん。君は僕をどうしたかったんだい?」  生身の人間と遜色ない、精巧に作られた体が上気している。心なしか、下肢の逸物にも堅さを感じる。   「お……俺、は」     
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