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「なんてことはないよ。僕を、ミナイ好みの容姿に設定して欲しいんだ」
隠さないで、もっと愛を向けて欲しい。僕はミナイに覆い被さり、キスをあちこちに落とした。
「ああ……メモリーに刻んでおく」
「楽しみだな。君は恋人を一切作らなかったから、どんな顔が好みか、僕は予想が付かない」
触れるたび、顕著に反応を示すミナイに、はじめて目にするだろう無防備さを垣間見る。
人と機械。
魂と記憶。
全ての境界線が薄れ、徐々に一つになってゆくような不思議な感覚だった。戦闘に特化した本体では、けっして得られなかっただろう。ミナイは僕をもっと連れて歩いてくれたらよかったのに。
性行為がなくても子供が作れるこの世の中で、体をつなげる行為がいつまでも廃れない理由を、僕は漠然と理解した。
一つになる瞬間の喜びを、僕はずっと忘れないだろう。
「愚かだ、馬鹿だとさんざん言ってはみたけれど、これだけは伝えなくちゃならない」
飽きることなく口づけをして、僕はミナイを強く抱きしめた。
「僕の所に還ってきてくれてありがとう、ミナイ」
同じように抱き返してくれる手を、もう二度と離さない。永遠に生きるというなら、永遠に側にいよう。
僕の全ては、君のものだ。
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