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セラピードールだったのなら、まだ少しは違ったかもしれない。彼らは人に感応するよう作られている。素晴らしい子たちだ。
対して、僕は人類を脅威から守るための兵器だからこそ、感傷的な思考はできないように作られている。常に冷静さを求められていた。
悲しいと感じる心がなくて良かったと、いっそポジティブに思うしかないのかもしれない。
死にゆくミナイを見守り、朽ち行くミナイを見守る。
そして、蓄えたデータの全ては、新しいパイロットの情報で上書きされて行くだろう。
すべて新しく更新され、僕の中からミナイは消える。
オペレーションシステムでしかない僕は、あたらしい人生を受け入れるよりほかにない。
『わかっている、わかっているけど……嫌だな』
ぼくは、ミナイを失いたくない。
だからこそ、人のような感情が欲しい。狂うほどの、激しい思いが欲しかった。
運命にうち抗うための、激しい感情が欲しかった。
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