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ザワザワ
ガヤガヤ
「あっ…田ノ倉!」
「白藤君」
タッ
「おはよう」
「おはよう」
「……田ノ倉の私服初めて見た…」
「えっ……」
「ほら、学校だと制服じゃん…オシャレなんだなって思った…」
「それは…街に出る時は僕だってオシャレはするよ」
輦の服装は清潔感のある淡い水色のシャツに、下はグレーのスラックスを履いている。
「何か新鮮…クスクス」
「そう言う白藤君こそ思いっきりオシャレしてるけど…」
「そりゃあ……あの子に会えるかも知れねえからさ…」
白のジーンズにストライプ柄のシャツでオシャレでカジュアルな装いだ。
「………会えるといいね…」
「ああ…」
「行く当てとかあるの…?」
「うーん……取り敢えず…此処が輦ちゃんと初めて会った場所なんだ…ははは…」
「ふーん……」
確かに……ここの自販機の所で白藤君に話を掛けられた…
「あっちから輦ちゃんは歩いて来たんだよなあ…」
「そっか……輦ちゃん歩いて来そう…?」
「分からねえ…」
ザワザワ
ガヤガヤ
立ち尽くす2人横を通行人が通り過ぎて行く。
「人は多いね……どう?」
「…どうって………来ねえ……って言うか……見張ってれば来るのか……」
「見張る為に僕に頼んだの…?」
「だって会った場所に居ればまた会えるかも知れねえって思ったからさ………」
「……………そっか……」
………そんなに会いたいんだね…白藤君…
「ここのベンチで飲みながら話して…」
「うん……」
「……………………」
「どうしたの?」
「下の名前でちゃん付けしたから…嫌われたのかも……」
「……初対面でちゃん付けしたの……」
「だって女の子だし…さん付けって言うのも…何かさ…」
「………でも白藤君は名字を聞いていなかったんだよね…?」
「それは………こっちから名字は?なんて聞けるかよ…」
「………だね………」
「馴れ馴れしかったのか………ナンパとも言われたし………」
「ナンパしたの白藤君…?」
「女の子に声を掛ける事態ナンパになるだろ…」
「そうだね……」
「田ノ倉……何か他人事……じゃね…?」
「そうかな…僕もキョロキョロして見てるよ…だって僕は会ったこともないし……」
「それもそうか……つまりは田ノ倉に似た顔の女の子ってことだ」
「…………それってドッペルゲンガーじゃないの………僕が会ったら死期が近くなっちゃうよ…」
「……ドッペルゲンガー……何だそれ…?」
「この地球上には自分と同じ顔の人間が3人いると言う…もし会ったら………死の知らせみたいな」
「恐いなあ………俺は苦手……」
そして話しは反れていった。
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