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おや…。
このような辺鄙(へんぴ)な場所へ、ようこそおいで下さいました。
私はこの画廊を案内しているものです。
はて。
あなた様は何処(いずこ)から…?
そうでございますか…。
では、この画廊がどのような場所か…知らずに迷い込んだのですね。
ここは、とある御仁が今までに出会った、
“強者”と“負者”…
それらを肖像画として描き、飾っている、という…少々、悪趣味な画廊でして。
もし、興味がありましたら、私が一つ一つ、ご案内致します。
え?何故、案内が必要か、と?
肖像画ですから、その肖像の人物に関する補足は、一切ございません。
肖像には、タイトルのみ、共に飾られております。
アルファベット一文字…例えば、
“Xの肖像”
のように。
肖像画自体も、その方が微笑んだお顔が描かれておりますので…肖像をご覧頂いた第一印象は、絶対的に、好印象かと思われます。
その方が、“勝者”か“負者”か、絶対に解りますまい。
ですから、私が、いるのです。
その肖像の、ちょっとした物語を。
僭越(せんえつ)ながら、私が語らせて頂きます。
“勝者”と“負者”…とは、学校で、社会で“地位”があるない、という意味か、と?
いいえ、そうではございません。
“地位”なぞ、いわばステイタス…若(も)しくは形容…あぁ、これが一番しっくり馴染みます。
“地位”とは、飾りです。
一個人誰もが身に付けている、アクセサリーです。
ここで描かれている肖像達の、“勝者”“負者”とは、所謂(いわゆる)、生まれつき決まっているモノ。
己の心に“自由”であり、
自身は気付かずに他者を簡単に“傷付け”、
そして、周囲の我慢に気付かず、
“自分は我慢している”と公言する、
自身を分析出来ない“幸せな者”。
それが、“勝者”であり、
そんな“勝者”に
“知らず知らず虐げられている者”。
それが、“負者”です。
ふふ…。
理解し難いですか?
でしたらどうぞ、ここの肖像達をご覧になって下さいませ。
私が、ご案内致します。
では、はじめの肖像画へご案内致します。
道すがら、この画廊の“基本的な現象”について、ご説明致します。
ようこそ、肖像の回廊へ。
あなたを歓迎致します。
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