第一章

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次の日、いつものように釣ってきた魚を処理して、今日は煮魚。 「おはよ…。」 今日も寝起きの悪い洋ちゃんを起こして朝食を出す。 「…ちくしょー、やっぱ美味ぇ…。」 洋ちゃんは、ボソッとなにか呟いたけど、私には聞こえなかった。 「洋ちゃん、今日も行ってらっしゃい!」 洋ちゃんを会社へ送り出し、私はすぐに養豚所へ向かった。       ― 「アンタ、そりゃ無理だよ。」 養豚所についた私は、さっそく責任者の人と話をした。だけど、責任者の人は… 「こっちはちゃんと衛生管理をしっかりして、豚をい一から捌いてんだよ。そこにいきなり素人さんが豚捌きたいのでやらせて欲しいって言われても、無理だよ。」 私の願いを聞き入れてはくれなかった。 「そこをなんとか!お願いします!」 「いや無理!」 何度も頭を下げたけど、結局私は追い返された。 「どうしよう…トンカツ作れないよ…。」 困った私は頭を抱えた。 どうしようどうしよう… 洋ちゃんが楽しみにしてるのに! きっとそれを励みにお仕事頑張ってるのに! 洋ちゃんの期待に答えられない私はなんて不甲斐ないんだと… 涙がポロポロと零れてきた。 その時…。 『店で買ってくるんだよな?』 洋ちゃんの言葉が頭を過った。 お店… そうか!そうよ! やっぱり洋ちゃんは凄い。 いないのに、私を助けてくれる。 私は急いで車に乗り、ペットショップへ向かった。
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