第一章

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「おかえりなさい、洋ちゃん!」 「ただいま…。」 洋ちゃんは疲れているのか、少し元気がなかった。 「どうしたの?」 「ん…別に。今日はトンカツ?」 洋ちゃんは鼻をクンクンして言った。 「うん!今日は美味しくできたよ~!」 私が満面の笑みでそう言うと、洋ちゃんは不安そうに聞いてきた。 「店でかってきたやつだよな?」 「うん!そうだよ?お店で買ってきたんだよ?」 「…そうだよな!あ~、良い匂い~!」 私の答えに安心したように、洋ちゃんは言った。 私の作ったご飯を食べたらすぐに元気になるんだから! 「美味しい?洋ちゃん。」 「うん、美味いよ!」 洋ちゃんは今日、珍しくご飯の準備を手伝ってくれた。だけど普段からしてくれる訳じゃないから、色んな棚を開けたり、冷蔵庫を何度も見たり、ついにはゴミ箱の蓋まで開けたりして… ふふ、可愛かったなぁ。 でも、今日のトンカツのゴミを、すぐに外に捨てておいて良かったわ。 やっぱりあのゴミを見ちゃったら、洋ちゃんはビックリしてきっとこんな笑顔でトンカツ食べられないわ。 「洋ちゃん今日は疲れてるみたいね。」 「うん、上司がさぁ、離婚したせいかストレス感じると俺に八つ当たりしてくるんだよね。」 「えっ…大丈夫なの?」 「うん…奥さんに逃げられてるから俺がひかるの自慢なんてしたからイラついたみたいでさ。まぁ、そのくらいいいんだけど。」 俺は幸せ者だから…なんて言って、洋ちゃんは笑った。
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