第一章

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春とはいえ、まだ早朝のこの時間は寒い。 私はいつものポイントへ向かい歩いた。 「ふー、よし!頑張るぞ!」 タイムリミットは1時間。 私は整備されていない海の、ゴツゴツした岩場に腰掛けた。 SNSで見つけたこの穴場スポットは、立ち入り禁止だけどよく魚が釣れるという噂だった。 噂は本当で、私は毎朝この海で釣れた新鮮な魚を朝食に出し、洋ちゃんに食べさせることができている。 「おっ!引いてる!」 最初は餌をつけることもできなかった私だけど、洋ちゃんの為だと思えば餌の虫を簡単にハサミで切って、釣り針に刺すことができた。 何より、その魚を美味しそうに食べてくれる洋ちゃんを見ると、次はもっと大物釣ってやるぞ!って気持ちになるの。 「よっ!あ~、ちょっとちっちゃいな~。」 だけど釣れたのはこぶりな魚だった。 でも1時間しか余裕のない今はそんな贅沢言ってられない! 私はすぐに針から魚を取り、クーラーボックスに入れると素早く次の餌をつけ釣り針を海に投げた。
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