1-1 灼熱の黙示録〈スコーチング・アポカリプス〉

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 轟音と共に、炎に包まれたかたまりが地中から飛び出してくる。  人間の倍はあるであろう巨大な身体。  岩石に包まれた硬質の肉体。  溶岩を内蔵し、赤く沸騰する表面。  全身を包む高熱の炎。  燃える岩の塊。 「突き出た岩〈クラッグ〉──」  思わずつぶやく。  新たに大地から出現したクラッグは、迷わず「僕に」突進してくる。  四つの赤い目がこちらを向く。  巨大な岩を思わせる身体から突き出した腕を振り上げ、迫ってくる。  四つの目の下の岩が割れ、尖った歯のようになる。  咆哮〈スペル〉。  そこでようやく、「引き金を引く自分」以外の自分を再認識する。  おびえず、おそれず。  落ち着いて、背中のタクティカル・ショットガンを抜く。  目前に迫ったクラッグの突進を、回転しながら回避する。  ショットガンの轟き。  意外にもろい岩が、簡単に弾け飛ぶ。飛び散る炎。  もともと、内部に爆弾を抱えているような存在であるクラッグだ。  少しの衝撃で破裂する。  肉の爆ぜた悪臭。  周囲から敵の姿は消えている。  気を抜かず、息を吐く。 「落ち着いたもんだべ、岩石男〈クラッギー〉」  となりに大きな図体の通信兵がならぶ。  通称ノイズ。  生まれつきか後遺症か歪んだ顔立ち。     
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