1-1 灼熱の黙示録〈スコーチング・アポカリプス〉

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「あんたはねぇ、手よりも先に口が動いてる人種なの。行動力がないのよ行動力が」  機関銃手マリアによる説教連射は、薬音寺にとっては、いつものことだ。 「だいたいね、あんたが足を引っ張るから、あたしは──」 「おおい、みんな聞いてくれ!」  突如、薬音寺がマリアをさえぎり、さけぶ。 「我が粉砕分隊の女性隊員が、紫苑とマリア、天と地ほどもかけ離れたプロモーションを備えていることに、お気づきか! DカップにBカップ。片や夢の狂乱、世界の華である一方で、残る一方は……遺憾である! 嘆かわしき由々しき事態である! 両名ともに豊満であったなら、我らが日常はぁ――!」 「いっぺん死ねぃ!」  マリアの拳が薬音寺の腹に沈みこむ。  ぐふぅと倒れこむ薬音寺。 「あたしのだって、需要あるわい!」 「あ、あのぅ、みんな、怪我はなかったですか?」  狙撃手の真幸が、自分のからだより大きめの狙撃銃──自動方式のM21を担いで登場した。  あどけない童顔で、どういうわけか、つねに泣きべそをかいている。 「大丈夫。今日も見事な狙撃だったよ、真幸」  いつもの荒さとは打って変わって、すっかり母親顔で優しい口調のマリアだった。 「いやぁ、お前ぇら、お疲れさん。帰ってコロッケでも食おうや」     
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