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十七歳の樽本陸曹長は、粉砕分隊の分隊長だ。
坊主頭の猛犬と呼ばれる、ガラの悪い人相。
額から右頬に傷痕が走り、片目を潰している。
彼は、一年後に現役引退が迫っていた。
「美奈ぁ、お前ぇも、よくやったなぁ」
真幸と同じくらいの背丈の少女、美奈。
金色に染めた髪の、短く小さいツインテールの少女は、手榴弾を大量に所持した、小さな擲弾手だ。
「死んじゃえ腐っちまえ腫れちまえぶいぶいぶい」
下を向いたまま、なにやら呪詛のようなものを、ブツブツつぶやいている。
「あいかわらずウツな感じですな、妹さん」
薬音寺が樽本の肩をたたき、銃をかついで伸びをした。
「あたし、カレーコロッケに一票」
マリアが手を上げると、薬音寺が怒鳴る。
「馬鹿、クリームコロッケだろ」
「ばかばかばーか、撃破数最低のあんたに、決める権限なんてあるわけないでしょ」
コロッケの中身が決まらないまま、回収のヘリコプターがやって来る。
ヘリに乗りこみつつ、あちこちで燃えくすぶっているクラッグたちの残骸を見つめる。
クラッグ。
突然の襲撃者。人類の脅威。敵。
地中から現れては人類を襲う魔物。怪物。
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