01. 新たな命の始まり

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「ねえ、徹ちゃん」 「うん?」 ジュースを買いに行ってくる、と昴が部屋を出て行ったあと……私は徹ちゃんに尋ねた。 「徹ちゃんは……知ってるんだよね。今回の入院が、最後になるだろうって言われてること……」 「――それは……っ」 「良いの、聞いちゃったんだ。ママとパパが話してるの。私が寝てると思って……二人が……」 「…………」 「私――もうすぐ死んじゃうん、だよね……」 「そんなことない!医者なんて最悪を想定して一番悪いことを言うから……!」 「……徹ちゃん」 くそっと吐き捨てるように言うと、徹ちゃんは私に背中を向けた。 (ごめんね、徹ちゃん) パパもママも私にはなんにも言ってくれない。 ただ大丈夫だから、と微笑んで……いつだって影で泣いてるのを私は知っていた……。 「ドナーさえ見つかれば……」 吐き捨てるように、徹ちゃんは言った。 「ドナー?」 「そう、そうしたら翼は元気になれるんだ」 そう言いながら徹ちゃんの表情が曇った訳を、この時の私は分からずにいた。
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