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「っ……」
何故か分からないけれど……衝動的に、その遺影に手を伸ばしていた。そっと指先が、写真に触れる。その瞬間――ひと際大きく心臓が跳ね上がった。。
「ああ……」
この人だ。
この人、だったんだ……。
「翼ちゃん、どうしたの……? 大丈夫……?」
心配そうな片岡さんに微笑むと、私は実穂さんのご両親の方を向いた。
そして――。
「――私の、私の話をしてもいいですか」
遺影を握りしめたまま口を開いた私を、怪訝そうな表情で彼らは見つめていた。
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