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「あなた、だったのね……」
実穂さんのお母さんの手が、私の手に重ねられる。そして――。
「抱きしめても、いいかしら……」
「っ……はい」
私の身体を、優しく慈しむように抱きしめた。
「こんなに大きく、元気になっていたのね」
「あの日から、外に出て遊ぶことが出来るようになりました」
「お父さんと……この子はどんな子なのか、幼い字だけれど元気になることが出来たのかとずっと気にかかっていたの。でも……こんなに、こんなに元気に生きていてくれたなんて……」
涙が、私の肩を濡らす。背中にそっと手を回すと……実穂さんのお母さんの心臓の音と混じり合って優しく鼓動を鳴らすのが分かる。
「聞こえるわ……実穂の、あの子の心臓の音が。――こんなにも力強く脈打ってる……」
「はい……」
私の身体をそっと離すと、涙を拭いながら実穂さんのお母さんは言った。
「あなたの中で、あの子はこうやって生きている。――あの子の命を生かしてくれて、ありがとう」
「そんなっ……私の方こそ、実穂さんの……おかげで、今をこうやって生きることが出来ています。――本当に、ありがとうございます」
「――翼さん、幸せに……幸せになってください。あの子の生きれなかった未来の分まで、あなたが幸せになってください。必ず……」
「約束、します」
震える声で言う実穂さんのお母さんの肩を、実穂さんのお父さんが優しく抱きしめた。
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